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初産は無痛分娩できないって本当?できないと言われる理由などを解説

初めて妊娠し、これから出産を迎える方の中で「初産でも無痛分娩は可能?」「初産は無痛分娩ができないと言われるのはなぜ?」と気になっている方もいるでしょう。無痛分娩ができるかどうかは、医療機関によって異なります。しかし、病気や体質によって無痛分娩ができない方もいるため、全ての方が無痛分娩ができるとは限りません。

この記事では、初産は無痛分娩ができないのか、できないと言われる理由・無痛分娩ができないケースなどを解説します。無痛分娩をするか否かの選択に役立ててください。

目次

初産は無痛分娩できないって本当?

初産の方も無痛分娩は可能です。しかし、初産婦の無痛分娩に対応していない医療機関もあることから、初産は無痛分娩ができないと言われることがあります。

はじめに、初産で無痛分娩ができないと言われる理由を紹介します。

初産で無痛分娩ができないと言われる理由

初産で無痛分娩ができないと言われる理由は、以下の3つです。

  • 陣痛促進剤を使用してもお産に繋がる陣痛がこないことがある
  • 経産婦よりも初産婦はお産に時間がかかる方が多い
  • 計画出産が計画通りに進まない可能性がある

初産婦の方は、陣痛促進剤や処置を行っても十分に子宮口が開かず、陣痛が起きないケースも見受けられます。本格的な陣痛がこない場合は、使用を中止したり、帝王切開になったりする可能性があるのです。

無痛分娩は前もって入院日や出産日を決定する計画入院で出産をするケースが多く見受けられます。初産の場合、計画通りに進まない可能性があることから、無痛分娩は経産婦のみという医療機関も存在します。

初産で無痛分娩ができないのは、一部の医療機関です。初産の無痛分娩に対応している医療機関もあるため、無痛分娩を希望する場合は、受け入れが可能な医療機関を探す必要があります。

無痛分娩ができないケース

初産の方はお産に時間がかかったり、計画通りにお産が進まない可能性があることから無痛分娩を断られるケースがあります。しかし、無痛分娩が行えない方もいるため、前もって把握しておくと良いでしょう。

ここからは、無痛分娩ができないケースを6つ紹介します。

お産の進みが早い方

お産の進みが早く、麻酔を投与しても間に合わないと判断された場合には、無痛分娩ができないと言われています。

無痛分娩時の麻酔は、硬膜外麻酔のほか、脊椎くも膜下麻酔・点滴による麻酔薬の投与の3種類ありますが、効き始めるまでの時間には違いがあります。各麻酔が効き始めるまでの時間は、以下のとおりです。

麻酔薬の種類特徴効き始めるタイミング
硬膜外麻酔脊髄を覆う硬膜と外側にある脊柱管の間にある硬膜外腔に麻酔を投与する方法。
背中から1mmほどのチューブを挿入し、麻酔薬を注入する。
麻酔は出産が終わるまで持続注入されるのが特徴。
10分〜15分ほどで効き始める
脊椎くも膜下麻酔脊髄を覆うくも膜下腔に針を差し、麻酔を投与する方法。
硬膜外麻酔よりも効き始めるのが早く、緊急性が高いお産で行われることが多い。
1分〜2分ほどで効き始める
点滴による麻酔薬の投与静脈に針を刺し、麻酔薬を投与する方法。
硬膜外麻酔や脊椎くも膜下麻酔が難しい場合に選択されることが多い。
15分ほどで効き始める

3つの鎮痛法の中で、効き始めるまでの時間が最も早いのは脊椎くも膜下麻酔ですが、持続時間が1時間〜1時間半ほどといわれています。硬膜外麻酔は赤ちゃんが生まれるまでチューブは留置したままのため、麻酔が途中で切れる心配がありません。そのため、硬膜外麻酔を選択する医療機関が多い傾向にあります。

硬膜外麻酔の処置はモニターの装着や薬剤の準備に30分ほどかかり、麻酔を投与するのに5分〜10分ほど必要といわれています。さらに、効き始めるまでの時間が10分〜15分ほどのため、約1時間ほど必要になるのです。お産の進みが早い場合には、処置をしている間に生まれる可能性があることから、無痛分娩ができないことがあります。

麻酔薬でアレルギーを起こしたことがある方

麻酔薬にアレルギーがある方は安全に出産できない可能性があることから、断られるケースも見受けられます。麻酔薬によるアレルギー反応が見られた場合は、麻酔薬の投与をやめてアレルギー反応に対する処置を行わなければなりません。深刻な状態に陥る可能性があることから、無痛分娩ができない方もいるのです。

医療機関によっては、違う薬剤を用いることで無痛分娩ができるケースもあります。過去に麻酔薬でアレルギー反応が出たことがある方は、必ず担当の医師へ伝えるようにしましょう。

血液が固まりにくい方

血液が固まりにくい方や、血液をサラサラにする抗血小板薬・抗凝固薬を服用している方も、無痛分娩ができない可能性が高いため注意が必要です。血液が固まりにくい方は、麻酔薬の投与により、硬膜外腔や脊髄くも膜下腔に血の塊や膿が溜まるリスクがあります。

硬膜外鎮痛を行う際は、前もって血液の固まりやすさの検査を行う医療機関が多いですが、これまでに血液が固まりにくいといわれたことがある方は、前もって主治医に伝えるようにしましょう。

肥満傾向の方

妊娠前から肥満体型の方だけではなく、妊娠中の体重増加が10kg以上の方は、麻酔が効きにくい可能性や、麻酔の処置を行えない可能性があります。

無痛分娩の麻酔は、背骨と背骨の間に針を刺してチューブを挿入したり、針を刺して麻酔薬を注入したりします。しかし、皮下脂肪が多い方は背骨の位置を把握することが難しく、目視で針を刺した場合には神経を傷つけるリスクが高いため無痛分娩ができないとされているのです。

肥満傾向の方でも背骨に触れられる方は、無痛分娩が可能なケースもあるため、担当の医師へ相談するのが良いでしょう。

背骨が曲がっている方・背骨の手術をしたことがある方

側弯症などの背骨の変形がある方や、骨折などで背骨の骨折をして金具を埋め込んでいる方は、麻酔が難しいことから、無痛分娩の対象から外れる可能性があります。硬膜外麻酔は硬膜外腔にチューブを入れて麻酔を投与します。

硬膜外腔にチューブを入れるのが難しいと判断された場合には、麻酔が行えない可能性があるため注意が必要です。医療機関や背骨の弯曲の程度によっては、対応可能なところもあるため、前もって問い合わせをするのが良いでしょう。

麻酔をする部位が膿んでいる方・発熱している方

注射する部位に膿がたまっていたり感染症により発熱が見られたりした場合は、髄膜炎などを発症する可能性があるため、無痛分娩ができない可能性があります。

通常、硬膜外腔や脊髄くも膜下腔は、ばい菌やウイルスがいない箇所です。膿や発熱があるなかで処置を行うと、針やチューブを解して感染症を引き起こす危険性が高いとされています。

初産で無痛分娩を選ぶメリット

無痛分娩を選ぶメリットは、以下の3つです。

  • お産の負担を軽減できる
  • 血圧の上昇を抑えられる
  • 赤ちゃんの負担を軽減できる

それぞれ詳しくみていきましょう。

お産の負担を軽減できる

初産の方が無痛分娩を選ぶことで、お産の負担を軽減することが可能です。出産経験の無い初産婦の方は、出産経験がある経産婦と比べて、お産にかかる時間が長く、約2倍の時間がかかるといわれています。初産婦と経産婦のお産にかかる平均時間は、以下のとおりです。

平均時間陣痛の間隔子宮口開大
分娩第1期初産婦:13時間
経産婦:7時間
2分〜10分間隔1cm〜10cm
分娩第2期初産婦:1.5時間〜2時間
経産婦:30分〜1時間
1分〜2分間隔10cm(全開)
出典:日本看護協会「妊娠・出産・産後における助産師によるケア

初産婦の方は、お産にかかる時間は平均15時間ほどです。無痛分娩は痛みを緩和できることから、出産時の体力消耗を低減できます。そのため、産後の体力を温存できるのが特徴です。出産してすぐに赤ちゃんを抱っこしたり、授乳したりできます。

血圧の上昇を抑えられる

無痛分娩は陣痛の痛みやいきむ際の血圧の上昇を抑えることが可能です。そのため、妊娠高血圧症候群と診断されている人に適している分娩方法となっています。

妊娠高血圧症候群の方は、血圧が上昇しすぎると痙攣発作や脳出血などを引き起こすリスクがあります。無痛分娩を選択することで、重症化することを防げる可能性が高まるでしょう。

赤ちゃんの負担を軽減できる

陣痛やいきむ際は、赤ちゃんへ送られる血液の量が一時的に少なくなるといわれています。無痛分娩では血流を改善する効果も期待できるため、安定した血液と酸素供給が可能となることから、赤ちゃんの負担も軽減できると考えられています。

まとめ

初産の方も無痛分娩は可能ですが、医療機関によっては初産婦の無痛分娩に対応していないところもあります。その背景には、陣痛促進剤を使用してもお産に繋がる陣痛がこない可能性や、お産に時間がかかる方が多いこと、計画出産が計画通りに進まない可能性があることなどが挙げられます。

初産の無痛分娩に対応している医療機関もあるため、無痛分娩を希望する方は、受け入れが可能な医療機関を探しましょう。しかし、血液が固まりにくい方や肥満傾向にある方などは、無痛分娩を受けられない可能性が高いため、前もって担当の医師に確認しておくと安心です。

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