前駆陣痛について「いつからみられる?」「どんな痛み?」「ずっと痛いのだろうか」と気になっている方もいるでしょう。前駆陣痛は本陣痛の前にみられることが多く、お産の兆候ともいわれていますが、前駆陣痛が見られずに本陣痛がくる方もいます。
この記事では、前駆陣痛と本陣痛の違いや痛みの程度などを解説します。前駆陣痛については個人差があるため、参考としてぜひご覧ください。
前駆陣痛とは
前駆陣痛とは、本陣痛の前にみられる不規則なお腹の張りや痛みのことです。「ブラクストン・ヒックス収縮」や「偽陣痛」とも呼ばれ、不規則に子宮が収縮している状態といわれています。
前駆陣痛は臨月にみられる方が多いといわれていますが、妊娠28週ごろからみられる方もいます。また、前駆陣痛がみられないまま本陣痛が始まる方もいるため、個人差が大きいのが特徴です。
前駆陣痛と本陣痛の違い
前駆陣痛と本陣痛の違いは、規則的なサイクルで子宮収縮がみられるかどうかです。
子宮収縮のサイクル | 特徴 | |
前駆陣痛 | 不規則 | 安静にしたり、姿勢を変えたりすると自然に治まる |
本陣痛 | 規則的 | 間隔が徐々に短くなり、痛みも強まる |
前駆陣痛は不規則ですが、しばらくすると自然に治まる傾向にあります。一方で、本陣痛は規則的なサイクルで子宮が収縮するのが特徴です。
日本産婦人科学会では、本陣痛について「子宮収縮が10分以内もしくは1時間に6回以上痛みを伴い、出産に至った場合」と定義しています。1時間に6回以上痛みがみられたり、10分以内の間隔で子宮が収縮したりしている場合は、本陣痛が始まっていると判断して良いでしょう。
前駆陣痛か本陣痛かどうかを見極める場合は、アプリなどを活用し、お腹が張ったり痛みを感じたりした時間をメモし、間隔をチェックするのがおすすめです。
前駆陣痛が起こる理由
前駆陣痛が起こるのは、出産に備えて子宮が収縮しているといわれています。通常、子宮口は硬く保たれていますが、前駆陣痛により子宮口を開きやすくしたり、赤ちゃんが通る産道を柔らかくしたりするためといわれています。
前駆陣痛の出現頻度・持続期間・痛みの程度
ここからは、前駆陣痛の出現頻度や持続時間、痛みの程度を詳しく解説します。
出現頻度と持続期間
前駆陣痛は不規則なため、出現頻度や持続期間は一人ひとり異なりますが、しばらくするとお腹の張りや痛みが自然に消失するのが特徴です。毎日決まった時間帯にみられる方や動いたあとにみられる方、夜間に前駆陣痛が始まったものの、朝方には消失している方もいます。
持続期間についても数日続く方もいれば、数分〜数時間で治まる方もいるため、個人差が大きいのが特徴です。そのため、出現頻度が規則的かどうか、痛みは治まるかどうかで前駆陣痛か否かを判断できるでしょう。前駆陣痛かどうか判断が付かない場合は、かかりつけの産院や医師に相談してみてください。
痛みの程度
前駆陣痛の痛みの程度も出現頻度と同様に、個人差が大きい傾向にあります。痛みが強い場合には、無理せず安静にすると良いでしょう。
前駆陣痛の痛みは、お腹や腰・お尻あたりに痛みを感じる方が多く、少し重めの生理痛と例えられています。また、下痢のようなお腹の痛みと例えられることもあります。便意を催しているにもかかわらず、排便に至らなかった場合は前駆陣痛と判断できるでしょう。
前駆陣痛がみられたときの過ごし方
前駆陣痛は、出産に備えて子宮が収縮しているといわれており、本陣痛が始まる前にみられます。前駆陣痛がみられた場合には、リラックスしたり入院バックの確認をしたりしましょう。
ここからは、前駆陣痛が見られたときの過ごし方を詳しく解説します。
リラックスする
前駆陣痛から本陣痛までは時間がかかる方もいるため、できる限りリラックスして過ごすようにしましょう。ゆっくり入浴するほか、妊娠中に飲めるハーブティーを飲んだり、アロマを使ったりするのがおすすめです。
時間があるときに休む
前駆陣痛から本陣痛が始まる方もいるため、いつお産が始まっても良いように、時間があるときはできる限り休むようにしましょう。また、出産が長丁場になる方もいるため、お産に備えて食べられるうちにしっかりと食事を摂って体力を温存しておくことが重要です。
入院バックを確認する
前駆陣痛がみられたときは、足りないものがないか入院バックを確認しましょう。入院に必要な持ち物は、前もって産婦人科から指定されますが、足りないものがあった場合には、体を動かせるときに準備するようにしましょう。
入院後に持ってきてもらう荷物がある場合には、わかりやすい場所にひとまとめにしておくのがおすすめです。合わせて、赤ちゃんを自宅に迎える準備が完了しているかどうかも、チェックしておくと良いでしょう。
陣痛タクシーの連絡先を確認しておく
出産時、陣痛タクシーを利用する方は、いつでも連絡ができるようタクシー会社の連絡先を確認しておきましょう。
陣痛タクシーを利用しない方は、産婦人科への移動手段を確認しておくと安心です。産婦人科が近くにある場合でも自分で運転をするのは危険なため、家族や知人に送ってもらうようにしましょう。しかし、本陣痛がいつ始まっても対応できるよう、陣痛タクシーの登録もしておくと安心です。
病院へ連絡するタイミング
前駆陣痛は基本的に病院への連絡は不要とされています。以下のタイミングで病院へ連絡するようにしましょう。
出産経験の有無 | 連絡をするタイミング |
なし | 陣痛の間隔が10分以内もしくは1時間に6回以上の陣痛がみられたとき |
あり | 陣痛の間隔が15分以内もしくは1時間に6回以上の陣痛がみられたとき |
経産婦の方が出産の進行具合が早い傾向にあることから、病院へ連絡するタイミングも初産婦と経産婦で違いがあります。しかし、以下の症状がみられた場合には、本陣痛がきていない場合でも病院へ連絡を入れるようにしましょう。
- 破水した場合
- 赤くサラサラとした出血がある
- 生理2日目くらいの出血がある
- 腹痛が長時間続いている
- 腹痛の程度が強い
- 胎動がいつもより少ない
出血が少量の場合は、お産が近づいているサインである「おしるし」の可能性が高いですが、出血量が多い場合には病院へ連絡を入れるようにしましょう。
本陣痛が始まった方の中には、陣痛の間隔や持続時間が不規則な「微弱陣痛」や陣痛の痛みが強く持続時間が長い「過強陣痛」になるケースが見受けられます。どちらも母体と赤ちゃんに負担がかかるため、一度本陣痛が始まった方は、かかりつけの産婦人科へ連絡をするのが良いでしょう。
前駆陣痛に関するよくある質問
最後に、前駆陣痛に関するよくある質問を紹介します。
前駆陣痛から本陣痛までの期間はどれくらい?
前駆陣痛がみられてから本陣痛がくるまでの期間は個人差があり、数時間以内に本陣痛がくる方もいれば、1ヶ月ほど経ってから本陣痛がくる方もいます。また、経産婦の方よりも初産婦の方が、本陣痛がくるまでの期間が長いといわれています。
前駆陣痛が何時間も続いている場合は?
前駆陣痛が何時間も続いている場合は、安静にしたり、体勢を変えたりして痛みが治まるかどうかを確認してみてください。痛みやお腹の張りが治らない場合は、医療機関へ連絡を入れて指示を仰ぎましょう。
臨月で1日中前駆陣痛がみられることはある?
前駆陣痛が1日中続く方もいます。体を温めたり、リラックスしたりして様子をみるのがおすすめです。痛みが段々と強くなってくる場合は本陣痛の可能性が高いため、アプリなどを活用して間隔を測るようにしましょう。
まとめ
前駆陣痛は、本陣痛の前に見られる不規則なお腹の張りや痛みのことで、出現頻度や持続期間、痛みの程度は、個人差が大きいといわれています。一方で、本陣痛は規則的にお腹の張りや痛みがみられます。子宮が収縮する間隔が徐々に短くなり、痛みも強まるのが特徴です。
本陣痛は痛みが強くなりますが、前駆陣痛は安静にしたり姿勢を変えたりすることで、自然に治まるケースが多い傾向にあります。そのため、前駆陣痛なのか本陣痛なのかを見極める必要があります。前駆陣痛と本陣痛かは、アプリなどを活用して間隔を測るのがおすすめです。
前駆陣痛は出産に向けて体が変化している時期です。前駆陣痛がみられた場合には、リラックスするほか、安静にしたり、入院バックの最終確認をしたりしましょう。