現在、妊娠中で「出産準備の費用はどれくらい必要?」「出産に向けてどれくらいお金を用意すれば良いのだろう」と気になっている方もいるでしょう。出産準備費用は、単胎妊娠と多胎妊娠で異なりますが、50万円以上必要となるのが一般的です。
この記事では、出産準備費用の内訳や平均費用、総額について解説します。お金がない場合の対処法についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
出産準備費用の内訳と平均相場
出産準備費用は、以下の4つに分けられます。
- 妊婦健診費用
- 出産費用
- マタニティ用品
- 赤ちゃん用品
妊婦健診費用や分娩費用・入院費用は、医療保険が適応されずに全額自己負担となります。また、マタニティ用品や赤ちゃん用品は、10万円を超えることもあります。
妊婦健診費用
検診の費用相場は、1回目の受診が1万円ほど、2回目以降は5,000円〜7,000円ほどといわれています。母子手帳が交付された後は、妊婦一般健康診査受診票によって検診費用の負担を軽減できますが、1回あたり1,000円〜5,000円ほどかかるのが一般的です。
妊娠中は出産までに14回ほど妊婦健診を受けることから、40,000円〜70,000円ほどかかると見積もっておくと良いでしょう。
出産費用
厚生労働省の調査によると、分娩〜退院までにかかる費用は全国平均で50.3万円となっています。施設ごとの出産費用の平均は、以下のとおりです。
公的病院 | 420,482円 |
私的病院 | 490,203円 |
診療所 | 482,374円 |
全施設の平均 | 468,756円 |
通院している医療機関や地域・出産方法によっても出産費用に差が生じますが、50万円を目安にしておくと良いでしょう。医療機関によって出産費用が異なるため、詳細な金額を知りたい方は、通院している医療機関に問い合わせをしてみてください。
なお、上記の費用は差額ベッド代が含まれていない金額のため、入院中に個室を希望した場合は「入院日数分×差額ベッド代」が追加でかかります。また、無痛分娩を選択する場合は、自然分娩費用にプラスして10万円〜20万円ほどかかります。無痛分娩を選択する場合は、出産費用が60万円〜70万円ほどかかるとみておくと良いでしょう。
マタニティ用品
マタニティ用品を揃える場合の相場は、3万円ほどとなっています。出産前後に必要となるマタニティ用品として、以下のものが挙げられます。
- マタニティウェア
- マタニティ用の下着
- 妊娠帯
- 母子手帳ケース
- 妊娠線予防・ボディケアクリーム
- 産褥ショーツ
- 授乳服
- 授乳用のブラジャー
- 母乳パッドなど
妊娠帯やマタニティ用の下着などは前もって購入するとサイズが合わない恐れもあるため、お腹が大きくなってから購入するのがおすすめです。
赤ちゃん用品
マタニティ用品を揃える場合は、10万円ほどかかる方が多い傾向にあります。出産後に必要となる赤ちゃん用品として、以下のものが挙げられます。
- 肌着
- カバーオール
- ベビードレス
- おくるみ
- おむつ
- お尻拭き
- 哺乳瓶
- 哺乳瓶用の洗剤・ブラシ
- 抱っこ紐/スリング
- ガーゼ
- 入浴用品など
病院から車で帰宅する場合は、チャイルドシートが必須です。一方で、普段車を使わない方は、1ヶ月検診時にベビーカーや抱っこ紐を使う方が多くいます。このように、必要な赤ちゃん用品は一人ひとり異なるため、前もってピックアップしておくと良いでしょう。
また、赤ちゃん用品はメーカーによっても値段が違うため、何が必要か・どのくらい揃えるのかによって必要な費用も異なります。
出産準備費用の総額
出産準備費用の総額は、赤ちゃん1人を妊娠している単胎妊娠と2人以上妊娠している多胎妊娠で異なります。単胎妊娠と多胎妊娠の総額をみていきましょう。
単胎妊娠
単胎妊娠の場合は、出産準備費用として64万円〜72万円ほど必要となる傾向にあります。単胎妊娠の出産準備費用の内訳は、以下のとおりです。
妊婦健診費用 | 1.5万円〜7万円ほど |
出産費用 | 50万円ほど |
マタニティ用品・赤ちゃん用品 | 10万円ほど〜15万円ほど |
合計 | 61.5万円〜72万円ほど |
出産費用に関しては、出産育児一時金により、48.8万円もしくは50万円が助成されます。そのため、自己負担金は10万円〜20万円程度が目安です。
帝王切開や妊娠悪阻など、医療保険が適応となる場合は自己負担金を抑えられたり、民間の医療保険に加入している方は保険金が下りたりする可能性があります。
多胎妊娠(双子や三子など)
多胎妊娠の場合は、出産準備費用として77万円〜120万円ほど必要となる傾向にあります。出産準備費用の内訳は、以下のとおりです。
妊婦健診費用 | 2万円〜9.5万円ほど |
出産費用 | 60万円〜80万円ほど |
マタニティ用品・赤ちゃん用品 | 15万円〜30万円ほど |
合計 | 77万円〜120万円ほど |
多胎妊娠の場合は単胎妊娠よりも妊婦健診の回数が多く、31週目までは2週間に1回、32週目以降は1週間に1回という医療機関が多くあります。そのため、妊婦健診費用の負担金額が大きくなる傾向にあります。
また、多胎妊娠は双子用のベビーカーを用意したり、2人分の新生児グッズを用意したりすると、総額で100万円を超えることもあるでしょう。
しかし、多胎妊娠は入院費用や帝王切開での分娩費用が医療保険適応となるため、単胎妊娠と比較して出産費用が抑えられる方が多くいます。
お金がない場合の対処法
「出産準備費用の用意が間に合わない」「お金がない」と悩んでいる方は、以下の3つの方法で赤ちゃん用品を揃えると費用を抑えられます。
- レンタルする
- フリマアプリを活用する・リユース品を購入する
- お下がりをもらう
それぞれ詳しく解説します。
レンタルする
ベビーベッドやベビーカーなど、使用する期間が限られている赤ちゃん用品は、レンタル業者からレンタルすることで購入費用を抑えられます。標準サイズのベビーベッドを2万円で購入した場合とレンタルした場合の費用を比較してみると、以下のように1万円近く抑えられる計算となります。
レンタル期間 | レンタル費用 |
3ヶ月 | 8千円ほど |
6ヶ月 | 1.1万円ほど |
ただし、レンタル期間が長くなると購入するよりも高額になる可能性や、出産直前では希望する商品をレンタルできない可能性があるため注意が必要です。6ヶ月間以上レンタルする場合は、購入するのと借りるのがどちらがお得かを比較検討するのがおすすめです。
フリマアプリを活用する・リユース品を購入する
フリマアプリやリサイクルショップで赤ちゃん用品を購入すると、定価で購入するよりも費用を抑えられます。ただし、保証が切れていたり、保証期間が短いものがあったりするため、購入時に注意が必要です。
お下がりをもらう
お金の面で制約がある場合は、肌着やカバーオール・お下がりをもらうのも1つの手です。無料でもらえることが多いため、費用を抑えるのに役立ちます。
親族だけではなく、地域の子育てサークルなどに参加して、お下がりをもらうのも良いでしょう。
妊娠・出産時に利用できる制度
妊娠・出産時に利用できる制度を活用することで、出産にかかる費用を抑えられます。出産前後に活用できる制度は、以下の3つです。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 高額療養費制度
それぞれ詳しく解説します。
出産育児一時金
出産育児一時金は、子供を一人出産するときに利用できる制度です。公的な医療保険に加入している全ての方が対象となり、48.8万円もしくは50万円が支給されます。
多胎妊娠の場合は、赤ちゃんの人数分受け取ることが可能です。出産費用が出産育児一時金の額を下回った場合は、申請することで差額を受け取れます。
出産手当金
出産手当金は、出産前後に会社を休んだ際に支給される手当です。勤務先の公的な医療保険に加入している方が対象となります。出産予定日の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)から、出産した日の翌日から56日目までの休んだ分が支給されます。
支給額は、以下の計算式で求めることが可能です。
【支給開始日以前(12ヵ月間)の各標準報酬月額の平均額÷30日×2/3×休業した日数】
出産手当金は、働いているときの賃金をもとに計算するため、一人ひとり支給額が異なります。
高額療養費制度
高額療養費制度は、医療機関の窓口で支払う医療費が以下の上限額を超えた場合に、医療費を払い戻してくれる制度です。
所得 | 自己上限額(3ヶ月目まで) | 自己上限額(4ヶ月目から) |
住民税非課税 | 35,400円 | 24,600円 |
年収約370万円以下 | 57,600円 | 44,400円 |
年収約370万円〜約770万円以下 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
年収約770万円〜約1,160万円以下 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
年収約1,160万円異常 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
妊娠中に公的な医療保険が適応になるケースでは医療費が3割負担になりますが、入院が長期になった場合や異常分娩で入院日数が増えた場合は、自己負担額が大きくなります。高額療養費制度を利用すると払い戻しを受けられるため、費用の負担を軽減できるでしょう。
まとめ
出産準備費用は妊婦健診費用のほか、出産費用・マタニティ用品・赤ちゃん用品を揃えるのに必要な費用です。単胎妊娠で64万円〜72万円ほど、多胎妊娠は77万円〜120万円ほど必要とされています。
レンタルしたりフリマアプリを活用したりすることで費用を抑えることが可能です。赤ちゃんは成長するスピードが早いことから、出産前に全て用意せずに、必要最低限の赤ちゃん用品を購入し、その都度買い足すのが良いでしょう。