「陣痛が5分間隔になったけれど、子宮口が開いていないと言われた」「陣痛が等間隔になっても子宮口が開かない方がいると知って不安」という方もいるでしょう。
子宮口はお産が進むにつれて徐々に開いていきますが、中には開きにくい方もいます。
そこで、この記事では、陣痛が5分間隔でも子宮口が開かない原因や子宮口の開きと陣痛の間隔の目安などを解説します。子宮口が開かないときの対処法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
陣痛が5分間隔でも子宮口が開かないことはある?
子宮口の開き具合は一人ひとり異なり、陣痛が5分間隔になっても開かない方もいます。子宮口が開くためには、規則的な陣痛や赤ちゃんの向き・産道の柔らかさなどが必要だと考えられており、出産経験の有無でも開きやすさが異なるといわれています。
初産婦よりも経産婦の方が子宮口が開きやすい傾向にありますが、経産婦でも子宮口が開きにくい方もいるため、個人差が大きいといえるでしょう。
陣痛が5分間隔でも子宮口が開かない原因
子宮口が開かない原因は、明確に解明されていませんが、一般的に以下の4つが原因として考えられています。
- 陣痛の強さが一定ではない
- 赤ちゃんが骨盤内でうまく回れずにいる
- 産道の軟産道と呼ばれる部分が硬い
- 子宮内の良性の腫瘍やストレスなど
それぞれ詳しく解説します。
陣痛の間隔や強さが一定ではない
陣痛の間隔や強さが一定ではない場合、子宮口が開きにくいといわれています。陣痛の間隔が短くなり、痛みの程度も強くなると子宮口が開いていくのが一般的です。
陣痛が始まったにもかかわらず、間隔が一定ではない微弱陣痛や、陣痛の間隔が10分以内になってもお産が進まない遷延分娩などでは子宮口が開かないケースも見受けられます。
赤ちゃんが骨盤内でうまく回れずにいる
赤ちゃんが骨盤内でうまく回れずに、お産が進みにくい「回旋異常」も、子宮口が開きにくい原因の1つと考えられています。
回旋異常の原因としては、以下のものが挙げられますが、分娩前に予測するのは難しいとされています。
- 骨盤の形態異常
- 子宮筋腫(子宮にできる良性の腫瘍)
- 低置胎盤
- 巨大児
- 低出生体重児
回旋異常により、分娩が進行しなかったり分娩時間が長くなったりした場合は、帝王切開となる場合があります。
産道の軟産道と呼ばれる部分が硬い
赤ちゃんの通り道である産道のうち、軟産道と呼ばれる子宮や膣・子宮頸管が硬い場合にも子宮口は開きにくいといわれています。軟産道が硬い原因として、以下のものが考えられます。
- 高齢出産
- 子宮の奇形
- 外傷による瘢痕
- 子宮筋腫など
軟産道が硬いと微弱陣痛や遷延分娩・分娩停止となる可能性があり、お産が進まない場合には帝王切開術にてお産を行います。
子宮筋腫(子宮にできる良性の腫瘍)やストレスなど
子宮口が開かない原因として、子宮内の良性の腫瘍や子宮頸管の損傷・ストレス・緊張・精神的な不安なども考えられています。
子宮口が全開になるまでの時間は、初産婦で平均13時間・経産婦で平均7時間かかるといわれており、なかには1日以上かかる方もいます。お産の進み具合は一人ひとり異なるため、あまり気負いせずに過ごすことが大切です。
子宮口の開きと陣痛の間隔の目安
ここからは、お産の経過ごとに子宮口の開きと陣痛の間隔の目安を紹介します。
前駆陣痛
前駆陣痛とは、本陣痛の前にみられる不規則なお腹の張りや痛みのことで、本格的にお産が始まる前のサインといわれています。不規則に子宮が収縮している状態となっており、子宮口は1cm〜2cmであるケースが多く見受けられます。
しかし、前駆陣痛は全員が経験をするのではなく、そのまま本陣痛が始まる方もいるため個人差が大きいのが特徴です。
分娩第1期
分娩第1期は本陣痛が始まってから、子宮口が10cmになるまでの期間です。分娩第1期は潜伏期と加速期・極期・減速期の4つに分けられます。
分娩第1期の子宮口の開きや陣痛の間隔の目安は、以下のとおりです。
期間 | 子宮口の開き具合 | 陣痛の間隔 |
潜伏期 | 0cm〜2.5cm | 8分〜10分ごと |
加速期 | 2.5cm〜4cm | 5分〜6分ごと |
極期 | 9cmまで急速に開大 | 2分〜3分ごと |
減速期 | 9cm〜10cm | 1分〜2分ごと |
分娩第1期は、徐々に陣痛の間隔が短くなり、痛みの程度も強くなるケースが多く見受けられます。楽な姿勢やマッサージなどで痛みを逃すのが良いでしょう。
一般的に、潜伏期〜減速期までの時間は、初産婦が10時間〜12時間ほど、経産婦が4時間〜6時間ほどかかるといわれています。
分娩第2期
分娩第2期は、子宮口が10cmに開大してから赤ちゃんが出てくるまでの期間を指します。陣痛は1分〜2分ごとの感覚で起こる方が多く見受けられ、子宮が収縮するタイミングにあわせていきむのが特徴です。
しかし、早い段階で力を入れてしまうと、膣や会陰部が切れてしまう可能性があるため注意が必要です。医師や助産師の指示に従い、陣痛がきたタイミングでいきむようにしましょう。
分娩第2期は、初産婦が1.5時間〜2時間、経産婦が30分〜1時間といわれています。
分娩第3期
分娩第3期は、赤ちゃんが生まれてから、胎盤や卵膜・臍帯が娩出されて分娩が終了するまでの期間となります。所要時間は5分〜30分程度といわれており、母体と赤ちゃんの状態によってはすぐに抱っこができる可能性もあります。
陣痛が5分間隔でも子宮口が開かないときの対処法
陣痛が5分間隔でも子宮口が開かないときの対処法は、以下の2つです。
- 陣痛が収まっているときに休む
- 陣痛時に深く呼吸する
それぞれ詳しく解説します。
陣痛が収まっているときに休む
子宮口がなかなか開かない場合には、陣痛がおさまっているときにできる限り休むのがおすすめです。陣痛時に体に力が入る状態が長く続くと、疲労が溜まり、微弱陣痛となる可能性があります。赤ちゃんが生まれるまでの時間は個人差があり、1日以上かかる方もいるため、陣痛と陣痛の合間に休むようにしましょう。
また、子宮口が全開になるまでは、アロマを活用したり音楽を聴いたりして、リラックスすることも効果的といわれています。陣痛がきた際に、力を入れると、痛みを強く感じる可能性があります。そのため、陣痛時には、楽な姿勢をとることが重要です。膝を立てるほか、反対向きで椅子に座る・四つん這いになる・立つなど、一番楽だと感じる姿勢をとるようにしましょう。
陣痛時に深く呼吸する
陣痛時には、呼吸が不規則になったり浅くなったりするため、深い呼吸を意識するとリラックスできます。鼻から息を吸ってゆっくりと口から吐く呼吸を取り入れて、痛みがおさまったら全身の力を抜くようにしましょう。
対策をしても子宮口が開かないときは?
なかなか子宮口が開かない場合には、以下の医療行為を行うことが多い傾向にあります。
- 卵膜剥離
- バルーン
- ラミナリア
- 陣痛促進剤
子宮口が開かない場合には、器具を用いたり、内診で卵膜剥離をしたりして陣痛を促します。
子宮口を開きやすくするためには妊娠中の過ごし方も重要
妊娠中に体重管理や運動などを意識して過ごすことで、子宮口が開きやすくなる可能性があります。ここからは、おすすめの対策を3つ紹介するので、ぜひ試してみてください。
体重管理をする
妊娠中に体重が増えすぎた方や肥満傾向の方は、子宮口が開きにくくなるといわれているため、体重管理を行うことが重要です。
妊娠中の体重増加の目安は、以下のとおりです。
妊娠前の体型 | BMI | 妊娠中の体重増加量の目安 |
痩せ型 | 18.5未満 | 12㎏~15㎏ |
普通 | 18.5以上〜25未満 | 10㎏~13㎏ |
Ⅰ度の肥満 | 25以上〜30未満 | 7㎏~10㎏ |
Ⅱ度の肥満 | 30以上 | 個別対応(上限5㎏までが目安) |
妊娠中は、上記の範囲内におさまるように体重管理を行いましょう。
運動をする
妊娠中の体重増加を防いだり、出産に備えて体力をつけたりしたい方は、安定期以降に運動を取り入れましょう。水泳やウォーキング、ヨガなどの有酸素運動をするのがおすすめです。
激しい運動は赤ちゃんに負担がかかる可能性があるため避けてください。運動中に異変を感じた場合はすぐに運動をやめて休息しましょう。もし、休んでも体調が回復しない場合には、医師の指示を仰ぐと安心です。
ストレッチをする
子宮口を開きやすくするためには、骨盤周りの筋肉をほぐすストレッチも効果的といわれています。妊娠後期に以下のストレッチを取り入れてみてください。
- 仰向けになり、両膝を立てる
- 息を吐きながら膝を右に倒す
- ゆっくりと膝を元の位置に戻す
- 左側も同じように倒してゆっくりと戻す
- 2回〜3回繰り返す
体調が優れないときやお腹の張りがみられる場合には、すぐにストレッチを中止し、安静にしましょう。
まとめ
子宮口の開き具合は一人ひとり異なり、陣痛が5分間隔でも子宮口が開かない方も見受けられます。子宮口が開かない原因として、回旋異常や逆子、軟産道強靭、子宮筋腫やストレスなどが挙げられます。陣痛が5分間隔でも子宮口が開かない場合は、できる限り休んだり、楽な姿勢をとったりしてみてください。
また、子宮口を開きやすくするためには妊娠中の過ごし方も重要といわれています。体重管理のほか、運動やストレッチを行い、出産に向けて妊娠中から準備をしておくのも良いでしょう。