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胎児が養分をもらう仕組みや妊娠中に摂取したい栄養素を詳しく解説!

「胎児はどのように養分をもらっているのだろう」「どのように赤ちゃんは育っているの?」と気になっている方もいるでしょう。胎児が養分をもらう仕組みは、妊娠初期と胎盤が完成してからで異なります。

この記事では、胎児が養分をもらう仕組みや妊娠中に必要なエネルギー量などを詳しく解説します。妊娠中の適切な体重増加量の目安や積極的に摂取したい栄養素についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

胎児が養分をもらう仕組みとは?

胎児が養分をもらう仕組みは「妊娠初期〜胎盤が完成するまで」と「胎盤が完成してから出産まで」で異なります。それぞれ詳しくみていきましょう。

妊娠初期〜胎盤が完成するまで

妊娠初期〜胎盤が完成する妊娠15週目頃までは、胎児は卵黄嚢から養分をもらっています。卵黄嚢は袋状の器官で、妊娠5週目頃からエコーで確認できます。エコーをしたときに、胎嚢の中に見える「リング状の陰影」が卵黄嚢です。

妊娠5、6週目になってもエコーで卵黄嚢が見えない場合は、以下の可能性が考えられます。

  • 胎芽と重なって見えない
  • 不整周期月経
  • 排卵の遅れ
  • 妊娠週数のズレ

卵黄嚢はとても小さいため、妊娠8週目頃までは胎芽と重なって見えないこともあります。妊娠週数にズレが生じている場合も見えないことがありますが、時間を置いて再度エコーをすると確認できるといわれています。

卵黄嚢は胎盤が作られるにつれて徐々に小さくなり、胎盤が完成する妊娠15週頃には見えなくなるのが特徴です。

胎盤が完成してから出産まで

胎盤が完成してから出産までは、胎盤とへその緒から養分をもらっています。胎盤内にある絨毛(じゅうもう)が血中の糖やタンパク質・脂質などを吸収して、へその緒を通じて赤ちゃんに養分を送ります。

なお、双子の場合は、二卵性と一卵性で胎盤の数が異なるため、養分をもらう仕組みも違っているのが特徴です。

二卵性一卵性
胎盤2つ1つ
へその緒2つ2つ

胎盤の数は、二卵性が2つ、一卵性が1つです。二卵性は胎盤が2つあり、胎児はそれぞれの胎盤から養分をもらっています。一卵性の双子の場合は、1つの胎盤から養分をもらっています。

妊娠中に必要なエネルギー量

妊娠中に必要なエネルギー量は、以下のとおりです。

妊娠初期妊娠中期妊娠後期
身体活動レベルⅠ18歳〜29歳:1,800kcal
30歳〜49歳:1,750kcal
18歳〜29歳:2,000kcal
30歳〜49歳:1,950kcal
18歳〜29歳:2,250kcal
30歳〜49歳:2,200kcal
身体活動レベルⅡ18歳〜29歳:2,100kcal
30歳〜49歳:2,050kcal
18歳〜29歳:2,300kcal
30歳〜49歳:2,250kcal
18歳〜29歳:2,550kcal
30歳〜49歳:2,500kcal
身体活動レベルⅢ18歳〜29歳:2,400kcal
30歳〜49歳:2,350kcal
18歳〜29歳:2,600kcal
30歳〜49歳:2,550kcal
18歳〜29歳:2,850kcal
30歳〜49歳:2,800kcal

身体活動レベルは、日常生活の活動量に応じて、以下の3つに分けられています。以下の中から、近しいレベルを選んでみてください。

身体活動レベル詳細
・座って過ごすことが多い方
・動く機会が少ない方
・座り仕事が中心で、移動や立ち仕事をすることがある方
・買い物や家事で動く機会が多い方
・移動や立位などが多い仕事に従事している方
・普段から運動している方

妊娠中は母体だけではなく、胎児の発育のために、エネルギー量を確保する必要があるといわれています。

妊娠中の適切な体重増加量の目安

日本産科婦人科学会が発表した「妊娠中の適切な体重増加量の目安」は、以下のとおりです。

妊娠前の体重BMI(※)妊娠中の体重増加量の目安
痩せ型18.5未満12㎏~15㎏
普通18.5以上〜25未満10㎏~13㎏
Ⅰ度の肥満25以上〜30未満7㎏~10㎏
Ⅱ度の肥満30以上個別対応(上限5㎏までが目安) 
出典:日本産科婦人科学会 |妊娠中の体重増加の目安について
(※)BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出

近年、20代〜30代女性における体格区分が「低体重(やせ)」の方が増加傾向にあります。妊娠中の体重増加量が少ないと、低出生体重児を出産するリスクが高くなるといわれています。

胎盤が完成してからは母体の栄養状態が胎児にも影響するといわれているため、エネルギーや栄養素が摂取不足とならないよう過ごすことが重要です。

一方で、肥満の方は、以下のリスクが高くなる可能性があるといわれています。

  • 妊娠糖尿病
  • 妊娠高血圧症候群
  • 緊急帝王切開
  • 分娩後大量出血

妊娠中は急激に体重が増えたり、ダイエットで痩せたりすると、母体だけではなく胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

妊娠中に摂取したい栄養素

妊娠中に摂取したい栄養素は、以下のとおりです。

  • タンパク質
  • ビタミン
  • 葉酸
  • 鉄分
  • カルシウム

それぞれ詳しくみていきましょう。

タンパク質

タンパク質は母体の健康維持や、胎児の筋肉や血液などを作る重要な栄養素です。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、たんぱく質の必要量は身体活動レベルによって異なるとされています。身体活動レベル別のタンパク質の目標量は、以下のとおりです。

18歳〜29歳30歳〜49歳
身体活動レベルⅠ57g〜88g57g〜88g
身体活動レベルⅡ65g〜100g67g〜103g
身体活動レベルⅢ75g〜115g76g〜118g

さらに、妊娠中は1日あたり、中期で5g・後期で20g〜25g加えて摂取することが望ましいです。積極的にタンパク質を摂取するようにしましょう。

ビタミン

妊娠中に摂取したいビタミンは、以下のとおりです。

ビタミンの種類多く含む食材
ビタミンA・レバー
・人参
・うなぎ
・モロヘイヤ
・ほうれん草
ビタミンB1・豚肉
・赤身肉
・ナッツ
・大豆
・カリフラワー
ビタミンB2・うなぎ
・カレイ
・卵
・納豆
・アーモンド
ビタミンB6・赤身肉
・鶏肉
・マグロ
・カツオ
・バナナ
ビタミンB12・しじみ
・あさり
・レバー
・牡蠣
・うずら卵
ビタミンC・パプリカ
・ブロッコリー
・芽キャベツ
・イチゴ
・レモン
・オレンジ

ビタミンAを摂取しすぎると、胎児に奇形を引き起こす可能性があるため、大量に摂取するのは避ける必要があります。ビタミンAの上限量は、1日あたり 3,000µgRAEといわれています。動物性食品では鶏や豚のレバー・ひじきに多く含まれているため、摂取量に注意が必要です。

葉酸

葉酸は神経閉鎖障害や、無脳症などの先天性疾患の発症を防げるといわれています。また、赤血球の生産を助けたり、たんぱく質の生合成を促進したりすることから、赤ちゃんの成長には欠かせない栄養素です。

葉酸が多く含まれる食材として、菜花やからしな・枝豆・春菊などが挙げられます。1日あたり400μg摂取するようにしましょう。

鉄分

妊娠中は胎児の成長や臍帯・胎盤中への鉄貯蔵、循環血液量の増加により、貧血になりやすいといわれています。18歳〜49歳までの女性における鉄分の摂取推奨量は、6.5mg/日となっていますが、妊娠中は初期では2mg〜2.5mg/日・中期と後期では12.5mg〜15mg/日の付加量が必要とされています。

鉄分を多く含む食材として、レバーやワカサギ・ひじき・ほうれん草などが挙げられます。ただし、レバーやひじきにはビタミンAが多く含まれているため、摂取量に注意が必要です。

カルシウム

カルシウムは、胎児の骨や歯を形成するために重要な栄養素です。妊娠中は母体のカルシウム量が減少するため、1日あたり650mgを摂取しましょう。

カルシウムが多く含まれる食材は、以下のとおりです。

食材100gあたりの含有量
干しエビ7100mg
サバ味噌煮(缶詰)210mg
ワカサギ450mg
ししゃも330mg
生揚げ240mg

まとめ

胎児は、妊娠初期〜胎盤が完成する妊娠15週目頃までは卵黄嚢から養分をもらい、胎盤が完成してから出産までは胎盤とへその緒から養分をもらっています。胎盤が完成してからは、血中の糖やタンパク質・脂質などを吸収して、へその緒を通じて赤ちゃんに養分を送っているのが特徴です。

胎盤が完成してからは母体の栄養状態が胎児の発育に影響するといわれているため、エネルギーや栄養素が摂取不足とならないように過ごす必要があります。

急激な体重の増加やダイエットは、母体だけではなく胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるため、エネルギー量や適切な体重増加量の目安を考慮しつつ、必要な栄養素を積極的に摂取することが重要です。タンパク質をはじめ、ビタミン・ミネラル・葉酸・鉄分・カルシウムを積極的に摂取しましょう。

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