これからお産を迎える方で「陣痛が乗り越えられるか不安」「陣痛の痛みを和らげるために効果的な方法を知りたい」「痛みの逃し方を知りたい」という方もいるでしょう。
陣痛は子宮口が開くにつれて、痛みの程度も強まっていくのが一般的です。しかし、痛みによって体に力が入ると、痛みの程度が増したり体力を消耗したりする可能性があるため、できる限り逃すことが重要です。
この記事では、前駆陣痛と本陣痛の痛みの逃し方を詳しく解説します。陣痛の痛みを和らげられる無痛分娩についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
前駆陣痛の痛みの逃し方
お産が近いサインの1つである前駆陣痛は、生理痛やお腹を下したときのような痛みを伴うことがあります。痛みを感じた場合は、立ったりあぐらをかいたりして、楽だと感じる体勢をみつけましょう。動くことでも痛みが和らぐといわれているので、ストレッチや散歩などを取り入れるのもおすすめです。
しかし、痛みが強い場合には、無理せず休むことが重要です。しばらく休んでも改善しない場合は、かかりつけの病院に電話をして指示を仰ぐのが良いでしょう。
本陣痛の痛みの程度
本陣痛は「生理中の何十倍もの痛み」「腰の骨が砕かれるような痛み」などと例えられますが、痛みについては骨折と指の切断の中間くらいといわれています。
本陣痛は子宮口が開くにつれて痛みも増していく傾向にあり、最も痛みが強いのが子宮口が5cm〜10cmになるまでの期間と、子宮口が10cmになってから赤ちゃんが生まれるまでの期間となっています。
お産の経過ごとの痛みの程度は、以下のとおりです。
お産の経過 | 痛みの程度 |
子宮口が5cmになるまで | 弱〜中 |
子宮口が5cm〜10cmになるまで | 強 |
子宮口が10cmになってから赤ちゃんが生まれるまで | 強 |
赤ちゃんが生まれるとき | 中※外陰部は痛みが強い |
子宮口が全開になるまでの時間は初産婦が平均13時間、経産婦が平均7時間といわれており、体力の消耗は微弱陣痛やお産が長引く要因となり得ます。そのため、できる限り痛みを逃して、体力を温存することが重要です。
本陣痛の痛みの逃し方①痛みを和らげる体勢を取る
本陣痛の痛みを逃すためには、痛みを和らげられる体勢を取ることが効果的です。どの体勢が良いかは一人ひとり異なり、座ったり立ったりしている方が痛みが和らぐケースもあるため、自分が一番楽だと思える体勢を見つけることが重要です。
腹圧がかかる体勢を取ると力が入りやすいため、四つん這いのほか、クッションを抱えて横向きで丸くなるなどの体勢を試してみましょう。
本陣痛の痛みの逃し方②痛みを和らげるツボを押す
お産に効果的なツボを押すことで、陣痛の痛みを軽減できる可能性があります。陣痛の痛みに効果的なツボは、以下のとおりです。
ツボの名称 | 位置 | 詳細 |
三陰交(さんいんこう) | 内側のくるぶしから指4本分のところにあるツボ | |
次髎(じりょう) | 仙骨の上から2番目のくぼみにあるツボ |
ツボを押す際は「気持ち良い」と思える強さで、3秒かけて押して3秒かけて離してみてください。
本陣痛の痛みの逃し方③呼吸に意識を向ける
本陣痛の痛みを逃す方法として、呼吸に意識を向けるのもおすすめです。陣痛の波がきたら、ラマーズ法を実践してみましょう。
ラマーズ法は、呼吸に意識を向けることで、緊張を和らげて余分な力が入るのを防げる呼吸法です。痛みの程度によって、呼吸の仕方を変えるのが良いとされています。呼吸の仕方は、以下のとおりです。
痛みの程度 | 呼吸の仕方 |
我慢できる痛みのとき | 「ヒー」とゆっくり息を吸って「フー」と長めに息を吐く |
痛みがとても強いとき | 1秒程度で「ヒッヒッ」と2回短く息を吸い、3〜4秒かけて「フー」と息を吐き切る |
痛みが強く、いきみたくなったとき | 息を短く吸って「フー」とできるだけ長く息を吐く最後に「ウン」と力を抜く |
息を吸うときよりも吐くときの方が力が抜けるため、息を吐くときはできるだけ長く吐くことを意識しましょう。
本陣痛の痛みの逃し方④力を抜いてリラックスする
陣痛時に力を入れてしまうと、痛みを強く感じる可能性が高く、疲労やお産が長引く要因にもなり得ます。そのため、陣痛がきたら、できるだけ力を抜いてリラックスすることが重要です。
リラックスすることで、赤ちゃんが骨盤の中に入りやすくなるほか、赤ちゃんに多くの酸素を送れる・お産がスムーズに進むなどのメリットがあります。好きな音楽を聴いたり、好きなものを食べたりして陣痛を乗り切りましょう。
本陣痛の痛みの逃し方⑤テニスボールを使っていきみ逃しをする
陣痛の痛みを和らげる方法として、テニスボールを使う方法も効果的です。陣痛がきた際に腰や肛門付近をテニスボールで押すことで、痛みを和らげられるといわれています。
テニスボールを使う際は、息を吐くタイミングで押してもらうことが重要です。一人ひとり最適な場所は異なるため、腰〜肛門付近にかけて痛みを和らげられる場所を探しましょう。
家族の方がいなかったり頼める人がいなかったりする場合は、片膝を立てるか正座やあぐらの体勢で踵をお尻に押し付けると痛みを和らげられます。
本陣痛の痛みの逃し方⑥体を温める
血行が促進されると筋肉の緊張が和らぐことから、体を温めるのも効果的です。体を温める方法として、以下のものが挙げられます。
- 入浴
- カイロ
- 足湯
- 蒸しタオル
- 温かい飲み物
破水をしている方は、子宮内感染をする恐れがあるため、入浴は不可とされています。また、カイロを使う際は、低温やけどに気をつけましょう。
本陣痛の痛みの逃し方⑦マッサージをする
マッサージは血行促進効果やリラックス効果が得られることから、体を温める方法と同様に、陣痛の痛みを和らげられるといわれています。腰や臀部など、痛みを感じる部位をさすってもらったり押してもらったりしましょう。
本陣痛の痛みの逃し方⑧体を動かす
体を動かすことで、筋肉の緊張が和らぎ、リラックスできるといわれています。動ける方は、病院の中を歩いたり階段を上り下りしたりして、できる限り体を動かしましょう。
動くのがきつい場合には、その場でストレッチするのもおすすめです。背中を丸めたり、腰をゆらゆらさせたりすると良いでしょう。
本陣痛の痛みを和らげるなら無痛分娩がおすすめ
陣痛の痛みに耐えられるか不安な方は、無痛分娩を選ぶのもおすすめです。無痛分娩は麻酔で痛みを和らげる出産方法で、自然分娩の痛みを1割〜3割程度に抑えられます。
ここからは、無痛分娩の麻酔とメリット・デメリットについて解説します。
無痛分娩の麻酔
無痛分娩は硬膜外麻酔が一般的ですが、脊椎くも膜下麻酔や点滴による麻酔薬の投与が行われることもあります。各麻酔方法の特徴は、以下のとおりです。
麻酔の方法 | 特徴 |
硬膜外麻酔 | 脊髄を覆う硬膜と外側にある脊柱管の間にある硬膜外腔に麻酔を投与する方法。 |
脊椎くも膜下麻酔 | 脊髄を覆うくも膜下腔に麻酔を投与する方法。 |
点滴による麻酔薬の投与 | 静脈に針を刺し、麻酔薬を投与する方法。 |
医療機関によって麻酔方法が異なる可能性があるため、前もって確認しておくと良いでしょう。
無痛分娩のメリット・デメリット
無痛分娩のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・陣痛の痛みを軽減できる ・お産の負担を軽減できる ・産後の回復が早い |
デメリット | ・副作用がみられることがある ・強い痛みを感じるケースがある ・費用が保険適応外 |
無痛分娩は痛みを和らげる方法のため、完全に痛みがない訳ではありません。自然分娩と同様にいきまなければならないため、ある程度痛みを残すのが一般的です。痛みの程度や麻酔の効き目は一人ひとり異なるため、ときに強い痛みを感じることがあります。
一方で、無痛分娩は痛みを和らげて体力を温存できるため、産後の回復が早いなどのメリットがあります。下半身に麻酔をかけることから、意識を保ったまま分娩でき、産後すぐに赤ちゃんのお世話をすることも可能です。
まとめ
陣痛の痛みは骨折よりも痛く、指の切断に近い痛みであるとされています。お産をスムーズに進めるためにも、陣痛の痛みを和らげることが重要です。陣痛の痛みの逃し方として楽な体勢をとるほか、ツボを押す・呼吸を意識する・体を温める・できるだけ動くことなどが挙げられます。
痛みが苦手な方や陣痛を乗り越えられるか不安な方は、無痛分娩を選択するのも1つです。無痛分娩は陣痛の痛みを和らげられるため、お産の負担を軽減できますが、副作用がみられたり、強い痛みを感じたりするケースもあるため、メリットとデメリットをしっかりと把握しておくことが重要です。
また、医療機関によっては夜間や休日に無痛分娩に対応していないところもあるため、無痛分娩を希望する際は24時間365日対応しているところを選ぶと良いでしょう。