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無痛分娩の適応症は?禁忌のケースやメリット・デメリットを解説

「心臓が弱い体質で普通分娩に耐えられるか不安」「体の負担を軽くするために無痛分娩にしたい」など、持病や体質のために無痛分娩を選ぶか悩む人もいるかもしれません。

無痛分娩は希望すれば誰でも適応とされ、選択することが可能です。また、妊娠高血圧症候群や心疾患などの症状がある人は、無痛分娩をすすめられるケースがあります。

今回は、無痛分娩が適応になる場合や禁忌について解説します。合わせて無痛分娩の主なメリットとデメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

無痛分娩の適応症は?

適応症とは、ある療法などによって効果が期待できる病気や症状のことを言います。無痛分娩の場合は、出産の痛みを和らげることで体の負担を軽減できる効果が見込めるためです。

基本的に希望すれば、誰でも無痛分娩の適応と判断されますが、積極的にすすめられるケースもあります。

ここでは、無痛分娩が適応となるケースを紹介します。

希望すれば誰でも適応となる

無痛分娩は希望すれば誰でも適応となり、出産方法として選択できます。

無痛分娩が広く普及しているアメリカの米国産婦人科学会では、妊婦が出産の痛みを緩和することを希望することは当然の権利だとしています。この考え方は日本でも適用され、希望すれば誰でも無痛分娩を選ぶことができます。

持病がある人は医学的適応になる場合も

出産は心臓や血管などにとても負担をかけるものなので、持病などがある人は無痛分娩をすすめられるケースがあります。

以下で紹介する症状の人は、医学的適応として無痛分娩をすすめられる可能性が高いです。

妊娠高血圧症候群

妊娠をした際に高血圧を発症することを、妊娠高血圧症候群といいます。妊婦の約20人に1人の割合で発症すると言われる病気です。高血圧だけでなく蛋白尿も出る場合もあり、妊娠高血圧症候群になるとさまざまな体の機能障害や赤ちゃんの発育不良が懸念されます。

高血圧になると血管に負担がかかり、出産時に脳出血を起こすなどの危険が。そのため出産時には体の負担を和らげるために、無痛分娩をすすめられることが多いです。

脳血管疾患

脳血管疾患とは、脳の血管が詰まる脳梗塞や脳の血管が破れる脳出血とくも膜下出血のことです。高齢者に多い疾患ですが、20〜30代でもリスクがあります。

他には若い世代にも多い、もやもや病も脳の血管が原因です。

脳血管系に負担がかかると危険な症状がある場合は、出産時の血圧の変動を抑制するために、無痛分娩をすすめることが多いです。

心疾患

心疾患は不整脈や心臓弁膜症などの心臓の病気の総称です。

出産は心臓にもかなり負担がかかります。心臓の病気を抱えている人の出産リスクを下げるために、無痛分娩を医学的に用いる場合が多いです。

精神疾患

パニック障害などの精神疾患を抱えている人にも無痛分娩が有効だと判断し、すすめる場合があります。パニック障害は体に病気はないけれど、突然激しい動悸に襲われたり、不安感や恐怖を感じたりすることです。

出産は人によっては極限状態にまで陥る大変な出来事です。強い不安に襲われる感覚がある人は、医師に相談してみると良いでしょう。

症状は人によってさまざまなので、気になる症状が日常からある人は無痛分娩が良いのか、医師に相談してください。

無痛分娩は保険がきくのか

出産自体は病気ではなく生理現象の1つとして捉えられているので、基本的に自由診療です。そのため、公的保険も民間保険も適用外になります。

状況によっては保険が適用になる場合もあるので、確認しておくと良いでしょう。

選択した無痛分娩は保険適用外

特に持病の心配もなく希望して無痛分娩を行った場合は、無痛分娩費は全額負担になります。そのため、自然分娩費+無痛分娩費(約20万円ぐらいが相場)の金額を請求されるでしょう。

出産すると加入している健康保険から、出産一時金50万円の給付があります。多くの場合では、病院で処理されるので差額分を支払います。

無痛分娩費は10万円を超えることが多いので、自己負担額が高額になるでしょう。

医学的適応の無痛分娩は保険適用

分娩費が保険適用される場合は、異常があり医療行為が必要になった場合です。

持病などの関係で普通分娩が難しく、無痛分娩が医学的適応と認められた場合は、保険適用になるケースが多いです。そのため、無痛分娩費は健康保険の加入者割合の3割負担になるでしょう。民間の保険に入っている場合は加入している保険契約によるので、支払い対象になるかは確認が必要です。

分娩が保険適用される場合でも、入院中の差額ベッド代や食事代など、医療費以外の費用は自己負担になるため注意しましょう。

無痛分娩が禁忌となるケース

禁忌とは悪影響が考えられるため、薬剤を使ったり治療をしたりすることを避けることです。無痛分娩が禁忌になるケースは以下で紹介するケースです。当てはまる場合は生命の危険度が高くなるため、希望しても行ってもらえないでしょう。

血が固まりにくい体質や症状

体質や血液関連の薬を処方されているなどで、血液が固まりにくい症状が確認された場合は、無痛分娩を受けることができません。

無痛分娩の麻酔をするために体内に管を入れるため、血の固まりにくさは危険だと判断されるからです。

脊髄疾患

過去に背中の手術をしたり、脊髄や背骨に病気があったりする人は、無痛分娩ができないことがあります。

無痛分娩が禁忌とされるケースとされないケースがあるため、医師に相談してみると良いでしょう。

無痛分娩の主なメリット

無痛分娩の最大のメリットは、出産の痛みの緩和です。他にもメリットがありますが、主なものを紹介します。

出産の痛みの緩和

出産の痛みは骨折の2倍ぐらいの痛みと言われるほど、壮絶な痛みです。その痛みを緩和することで、母体のストレスを大幅に軽減できます。

高血圧や心疾患などがある場合も、痛みを軽減することでリスクを下げて出産をすることが可能です。

ただし、完全に無痛というわけではなく、赤ちゃんを押し出すための陣痛やいきみのタイミングを測るために、ある程度の痛みは残ります。

産後の体力の回復が早い

出産自体かなり体力を使います。陣痛などの痛みに耐えるだけでも体力の消耗が激しいです。無痛分娩で痛みを緩和することで母体の体力を温存することができ、産後の回復が早くなる傾向があります。

無痛分娩の主なデメリット

無痛分娩は麻酔薬を使うため、リスクがあるなどのデメリットも存在します。

ここでは、無痛分娩の主なデメリットについて紹介します。

分娩時間が長引く

麻酔薬を使って陣痛を感じにくくなるため、分娩時間が長引く可能性が高くなります。陣痛促進剤を使用するケースも多いです。

また、分娩時間が長いと赤ちゃんに負担がかかり、早く取り出すために吸引や鉗子を用いることがあります。吸引や鉗子の娩出術を使うと、母体や赤ちゃんの頭部に傷がつく可能性があります。

副作用や合併症のリスク

無痛分娩は麻酔薬を使用するため、どうしても副作用や合併症のリスクがあります。

時々発生するのが、発熱や血圧低下、足の感覚が鈍くなるなどです。他にも頻度は高くないですが頭痛や神経障害、排尿障害などが発生する可能性があります。

無痛分娩を扱う産院は安全対策をしっかり行っているので、重大な事故などは極めてマレです。しかし、無痛分娩にはリスクがあることは、しっかり理解しておく必要があるでしょう。

まとめ

無痛分娩は、希望すれば誰でも適応とされます。妊娠高血圧症候群や心疾患などの持病がある人は医学的適応と判断され、無痛分娩をすすめられるケースもあります。

ただし、血液が固まりにくい症状がある人や、過去に背中の手術をしたことがある人は、無痛分娩ができない場合もあるでしょう。

無痛分娩が医学的適応と判断された場合は、保険が適用されることもあるので、産院や医院に確認してみると良いです。

無痛分娩では麻酔を使うため、どうしても副作用や合併症のリスクがあるので、メリットとデメリットをしっかり理解して無痛分娩をするか判断しましょう。

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