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妊娠中に保険に入るべきかどうか悩んでいる方へ|公的な手当やメリットなどを解説

「妊娠中のトラブルに備えて医療保険に入るべきか悩んでいる」「妊娠中の検診〜出産時の費用面での不安がある」という方もいるでしょう。民間の医療保険は、入院時や帝王切開の費用などを補償してくれる可能性があることから、費用の負担軽減に役立ちます。

しかし、妊娠中に医療保険に入る場合は、保険が適応されるまで一定期間必要となる可能性や妊娠週数によっては加入できない可能性があるため注意が必要です。

この記事では、妊娠中に民間の医療保険に入るべきかどうか、妊娠中に民間の医療保険に入るメリットを解説します。

目次

妊娠中は民間の医療保険に入るべきか?

妊娠中に民間の医療保険に入るべきか否かは、一人ひとり異なります。その理由として、以下の7つが挙げられます。

  • 正常な妊娠・出産は医療保険の適応範囲外である
  • 通院費用は医療費控除の対象である
  • 高額療養費制度が利用できる
  • 妊婦一般健康診査が助成される
  • 出産育児一時金が支給される
  • 出産手当金が支給される
  • 補償対象外となる可能性や補償範囲が制限される可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

正常な妊娠・出産は医療保険の適応範囲外である

妊娠は病気や怪我ではないと考えられているため、国民健康保険や協会けんぽ・共済組合などの公的な医療保険は使えません。民間の医療保険も普通分娩は補償の対象外としているところが多く、順調に出産を迎えた場合は全額自己負担となります。

ただし、以下の場合は公的な医療保険が適応され、民間の医療保険でも補償される可能性が高くなっています。

  • 切迫早産
  • 重度の妊娠悪阻
  • 切迫流産
  • 帝王切開
  • 吸引分娩
  • 鉗子分娩
  • 骨盤位分娩(逆子のまま分娩)

出産時に異常分娩となった場合だけではなく、妊娠中に早産や重度の妊娠悪阻になった場合も医療保険が適応される可能性があることから、リスクがある方や備えておきたい方は加入しておくと良いでしょう。

通院費用は医療費控除の対象である

医療費控除は、1/1〜12/31までの1年間の間に、医療費が一定額を超えたときに所得控除を受けられるものです。生計を共にする家族の医療費が、1年間に10万円もしくは所得の5%を超える場合に、確定申告することで控除を受けられます。

以下のものは医療費控除の対象となりますが、入院時に個室を希望した場合の差額ベッド代は対象外となるため注意が必要です。

  • 定期健診の費用
  • 妊娠悪阻や妊娠高血圧症候群などの入院費用
  • 通院・入院時の公共交通機関の交通費
  • 入院時に利用したタクシー代
  • 入院中の食事代
  • 分娩・入院費用

医療費控除額は、以下の計算式で求めることが可能です。

【医療費控除額=妊娠から出産までにかかった医療費の自己負担合計額-補填された金額-10万円もしくは総所得金額等の5%】

補填された金額には、民間の医療保険会社から支払われた保険金以外にも出産育児一時金や高額療養費も含まれます。総所得金額等の5%は、所得金額が200万円以下の方が該当します。

医療保険が適用されない正常な妊娠・出産の場合でも、医療費は控除の対象となることから負担金を減らすことが可能なため、領収証を保管しておくと良いでしょう。

高額療養費制度が利用できる

高額療養費制度とは、医療費の家計を圧迫しないよう、ひと月の上限額を超えた分の医療費を払い戻してくれる制度です。妊娠中に公的な医療保険が適応になるケースでは医療費が3割負担になりますが、入院が長期になった場合や異常分娩で入院日数が増えた場合は、自己負担額が大きくなります。

高額療養費制度を利用すると払い戻しを受けられるため、費用の負担を軽減できます。自己上限額は以下のとおりです。

所得自己上限額(3ヶ月目まで)自己上限額(4ヶ月目から)
住民税非課税35,400円24,600円
年収約370万円以下57,600円44,400円
年収約370万円〜約770万円以下80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
年収約770万円〜約1,160万円以下167,400円+(医療費-558,000円)×1%93,000円
年収約1,160万円異常252,600円+(医療費-842,000円)×1% 140,100円

3ヶ月以上連続で上限額を超えた場合は、4ヶ月目以降は上限額が下がります。あらかじめ長期に入院することが決まっている方は事前に申請し、限度額適用認定証を医療機関の窓口で提示すると、記載されている上限額までに抑えることが可能です。

妊婦一般健康診査が助成される

妊娠中の検診費用は全額自己負担となりますが、母子手帳の受け取りと併せて妊婦一般健康診査の受診票が発行されるため、通院時の費用負担を軽減できます。金額は自治体によって異なりますが、最大14回分が助成されます。

1回の通院につき1枚使用することが可能です。助成金額を超えた医療費については自己負担となります。

出産育児一時金が支給される

出産育児一時金は、最大50万円が支給される制度です。公的な医療保険に加入している全ての方が対象となります。医療機関の産科医療補償制度への加入有無と出産する妊娠週数によって、支給金額が異なります。支給金額は、以下のとおりです。

医療機関の種類出産育児一時金の金額
産科医療補償制度に加入している医療機関で妊娠22週以降に出産する方500,000円
産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産する方488,000円
産科医療補償制度に加入している医療機関で妊娠22週未満で出産する方488,000円

多胎妊娠の場合は、赤ちゃんの人数分受け取ることが可能です。受け取り方法は以下の3種類あります。

受け取り方法詳細
直接支払制度被保険者に代わり、医療機関が保険組合に出産一時金の申請を行い受け取る方法
受理代理制度被保険者が手続きを行い、保険組合が医療機関に支払う方法
事後申請(直接申請)医療機関の窓口で全額支払ったのち、保険組合に請求する方法

出産費用が出産育児一時金の額を下回った場合は、申請することで差額を受け取ることが可能です。

出産手当金が支給される

出産手当金は、出産前後に会社を休んだ際に支給される手当です。勤務先の公的な医療保険に加入している方が対象となります。出産予定日の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)から、出産した日の翌日から56日目までの休んだ分が支給されます。

支給額は、以下の計算式で求めることが可能です。

【支給開始日以前(12ヵ月間)の各標準報酬月額の平均額÷30日×2/3×休業した日数】

支給開始日以前の期間が12ヵ月に満たない方は、以下いずれかの低い額をもとに計算しましょう。

  • 支給開始月以前の標準報酬月額の平均額
  • 前年度の9月30日における全被保険者の標準報酬月額の平均額(同月)

出産手当金は、働いているときの賃金をもとに計算するため、一人ひとり支給額が異なります。

補償対象外となる可能性や補償範囲が制限される可能性がある

妊娠中に民間の医療保険に入る場合、過去に帝王切開をした方や妊婦健診の時点で異常が見つかっていた方は、加入しても補償されない可能性が高くなっています。

補償開始日までの免責期間が設けられることもあるため、妊娠中のトラブルや異常分娩については補償されないケースも見受けられます。免責期間とは、保険に加入してから補償が開始されるまでの期間のことです。期間は3ヶ月から1年間など、保険会社により異なります。

民間の医療保険に加入する際は、補償されるのかどうかだけではなく、免責期間の有無も確認しておくと安心です。保険会社によっては、妊娠中の入院や異常分娩も補償されるプランを展開しているところもあるため、複数の保険会社のプランを比較検討すると良いでしょう。

さらに、妊娠中の保険加入は27週までの保険会社が多いため、できるだけ早く加入しておくと安心です。

妊娠中に民間の医療保険に入るメリット

民間の医療保険に加入するメリットは、産前産後のリスクに備えられ、経済的な負担を軽減できることです。妊娠中の入院は数ヶ月にわたる可能性があり、異常分娩も普通分娩と比べて入院日数が長くなるため、費用がかさむ傾向にあります。医療保険に加入しておくことで、経済的な負担を軽減できるでしょう。

産後のリスクとして、以下のものが挙げられます。

  • 子宮復古不全
  • 子宮出血
  • 乳腺炎
  • 産じょく熱
  • 膀胱炎
  • 腎盂腎炎
  • 血栓性肺塞栓症
  • 妊娠高血圧症候群の後遺症

妊娠・出産は産後もリスクがあることから、医療保険に加入しておくことで安心感を高められます。ただし、保険会社や加入するプランによって補償範囲が異なるため、前もってしっかりと調べておくことが重要です。

まとめ

妊娠中に民間の医療保険に入るべきかどうかは、妊婦さん一人ひとりの状況によって異なります。正常な妊娠・出産は公的・民間の医療保険の適応範囲外ですが、医療費控除や出産育児一時金などの公的制度を利用でき、妊娠〜出産までの費用の負担を軽減できる制度が整っています。

しかし、切迫早産や妊娠高血圧症候群などのトラブル時の補償はされないため、民間の医療保険に加入しておくと費用の負担を軽減できる可能性が高まるでしょう。妊娠中に民間の医療保険に加入する場合は、補償対象外となる可能性や補償範囲が制限される可能性があることから、複数のプランを比較検討することが重要です。

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